スィっと出された煙管を、平治は怯んだように見た。




 京允は、平治に煙管を差し出しながら、冷酷な眼差しで有無を言わさぬ雰囲気を醸しながら見ている。




「吸え」




 平治が怖ず怖ずと受け取った。




 そして、自棄になったようにくわえ、一気に吸った。




 勢いよく吸いすぎて、平治が咳込む。




 それを見て、正六が愉快そうに笑った。




「アッハッハッハ。

勢いよく吸うからだ!

あとはホンのちょっとのきっかけさえありゃあ、お前も変化出来るようになるよ!

楽しいぜぇ!

怯える目でこっちを見る奴らをザックリやるのは!」




 正六の愉快そうな言葉が、頭の中で、ぐわぁんぐわぁんと響く。




 何を言ってるのか、その言葉は意味をなさない。




 もっとも、今の平治にはそんなこと、もうどうでもよかった。




(頭が重い・・・・・・。

体が・・・・・・怠い・・・・・・。

なんか・・・・・・もう・・・・・・、全てがどうでもいい・・・・・・・・・・・・)




 平治の目は、闇に堕ち、虚ろだった。