「間違いないようですね」




 甚兵衛が確信する。




 少年のような侍は、物陰に隠れている甚兵衛を正確に察知し、じぃっと見ていた。




 そしてニヤリと笑う。




 甚兵衛が、その笑いに込められた覇気で、相手がただ者ではないことを悟った。




「出て来い。

そこの小僧」




 少年が、甚兵衛に向かって言う。




(少年に小僧、と言われるとは・・・・・・。

まあ、外見の年齢など、ほとんどアテにはなりませんしね。

それでもやはり、違和感タップリですね)




 甚兵衛が、苦笑を浮かべながら物陰から出る。




「少々、伺いたいことがあってまいりました」




「何だ?」




「ついて来ていただきたいのですが、構いませんか?」




 少年が、甚兵衛に大仰に頷く。




 甚兵衛は、先に立って歩きだした。




 むろん、背後には細心の注意を払っていた。