「鬼兵。

ちょっと聞きたいことがあるんですが」




「聞きたいこと?」




「ええ。

最近、怪しい二人組の侍を見たことはありませんか?」




「怪しい二人組の侍ねえ・・・・・・」




 鬼兵が煙管をふかしながら考え込む。




 そして、チラッと甚兵衛を見た。




「例の・・・・・・強盗どもを、それとなく嗅ぎ回ってる奴らがいたな」




 甚兵衛が思わず、“強盗”という言葉に反応する。




「やはり、例の強盗がらみか」




「心当たり、あるんですね?」




 鬼兵が頷く。




「まあ、兄貴の言ってる奴らと同じかどうかは分かりませんが・・・・・・。

三浦屋ってえ旅籠にそれらしい二人組が泊まってますぜ」




「分かりました。

鬼兵、助かりましたよ」




「なあに、またいつでも声を掛けて下さい!

それじゃあ、俺ぁこれで!

こう見えて、けっこう忙しいんで」




「ご苦労様です」




 鬼兵は、子分達を促すと、城下のほうへ戻って行った。