「それにしても、解せぬな・・・・・・。

何故、役人達から病に罹ってしまうのか・・・・・・。

どういうカラクリかは知らぬが、奴らになんと都合の良いことよ!」




 重元が忌ま忌ましそうに言う。




「確かに・・・・・・。

そこら辺の事情が分かれば、病を止める一助になるかも知れませんな。

もっとも、もはやあまり時間が無いかも知れませんが・・・・・・」




 断十郎の言葉に、重元が小さく溜め息をつく。




「これだけ人心が乱れ、役人も動けぬとあれば、次にくるのは恐らく暴動・・・・・・。

もし、本当に起これば、止められるかどうかは五分五分か・・・・・・」




 嫌な推測だが、全く有り得ないというわけではない。




 それどころか、かなり高い確率で起こるであろう。




 しかも、断十郎の予想は、それよりも、さらに最悪なものだった。




「重元様・・・・・・。

恐らく、五分五分ではすみますまい」




 重元が、横目で僅かに断十郎のほうを見た。