井戸に毒を流すというのは、最低最悪な所業だ。




 その一帯の住人達が無差別に犠牲になるからだ。




 さらに、後々まで毒が抜けず、その井戸が使い物にならなくなる。




 水が無ければ、そこは人の住めない死の土地になってしまう。




 戦でも、そこまでやることは滅多に無い。




 だが、京允と正六は、嬉々として病魔を井戸にばらまいている。




 平治は、絶望した。




 どう言い逃れしようとも、自分が、この鬼達の仲間であるのは間違いない。




 平治には、魂が暗い闇に飲み込まれ、汚れていくのが実感出来た。




 そんな三人は気付かない。




 少し離れた闇の中で、小柄な男がその様子を見ていることを・・・・・・。