「な!?

何だぁ、ありゃあ!?」




 京允が、素っ頓狂な声を上げる。




「あ!?

あれは目なんじゃないのか!?」




 平治の言う通り、それは夜空に浮かんだ金色の眼(マナコ)だった。




 さらに、平治達の見ている前で、その下の夜が裂けていく!




 そこは、真っ赤な口だった!




 その口が、ニタァと笑う。




 強盗団の面々は、皆、あまりの異常さに、わけも分からず言葉が出て来ない。




 と、次の瞬間!




 平治の脇を、白い疾風が駆け抜けた。




 平治が咄嗟に、その疾風を目で追う。




 そして、視線の先にある光景に、我が目を疑った。




「あ・・・・・・あ・・・あれ・・・・・・あれを見ろ・・・・・・」




 平治が指差す。




 京允と正六は、その指に誘われるように、そちらを見た。




 三人共、凍り付いていた。




 視線の先に、大きな岩がある。




 その岩の上に、牡牛程もある白い狐が居た。




 月影を浴びて、白い毛はまるで淡く光を放っているように見えた。




 九本の尻尾をユラユラと揺らしている。




 そして、黄金の瞳で、三人を見ていた。




 神々しいばかりの存在感に、三人は、ただただ呆然と見詰めていた。