そうでなくても、鉄燎達は、家人の殺害で音をたてているのだ。




 鉄燎達にとって、強盗はいわば遊びのようなものだ。




 だが、例え遊びであっても、成功するに越したことはない。




 そうなると、出来るだけ静かに、かつ速やかに蔵を開ける必要があった。




 そしてそれは、器用な平治以外には、出来ない相談だったのだ。




 進み出た平治が塀を攀じ登るのを、正六が手伝ってやる。




 それでどうにか平治は、屋敷の庭に侵入することが出来た。




 庭はひっそりと静まり返っている。




 皆、眠っているようだ。




 薄暗い庭に一人で居ると、平治はいつも心細くなる。




 自分だけを残して他の奴らは帰ってしまってるんじゃないか、とそんな取り留めもない不安が沸き起こるのだ。




 平治にとって、他の三人とはもう一蓮托生だった。