花鵠國の城代は、杉原 重元と言う。




 重元は有能な城代だった。




 民衆からの信頼も篤い。




 その施政も善政と言ってよい。




 これまで、花鵠國は着実に発展していたはずであった。




 しかし、今、花鵠國にはただならぬ問題が起きていた。




 疫病の蔓延に、歯止めがきかない!




 その原因すら、掴めていなかった。




 それゆえ、対策のとりようが無い!




 だが、それでもいくつか分かったこともある。




 疫病は、どうやら役人達を中心に広まっているようであった。




 疫病に罹った役人が、そうとは知らず、町を見回るなどして、広まっていると思われるのだ。




 これには、重元も、頭を痛めた。




 役人が原因かも知れないといって、見回りを止めるわけにはいかないからだ。