「あっ!?

ちょっと待って下さい!

もう一つ、報告したいことが!」




 断十郎が、立ち止まる。




 そして、甚兵衛をチラッと見た。




 甚兵衛が、複雑な表情をしているのに気付いた。




「なんだ?

強盗の話だけじゃないのか?」




 断十郎のほうも、甚兵衛のただならぬ気配を感じ、表情を改めた。




「ええ・・・・・・。

実は、その強盗団の中に・・・・・・」




 甚兵衛の歯切れが悪い。




 断十郎は、訝しく思った。




「平治さんを見ました・・・・・・」




「!?」




 断十郎が、一瞬だけ驚き、そしてすぐに、眉間に深い皺を刻む。




「間違い・・・・・・ないのか?」




 甚兵衛が、こくりと頷いた。




 そのまま、断十郎は、黙りこくってしまった・・・・・・。