断十郎と甚兵衛は、長屋近くの河原を歩きながら、世間話でもするように深刻な話をする。




「旦那・・・・・・。

実はゆうべ、今、噂になっている強盗団に出くわしました」




「ほお・・・・・・。

俺の話もそのことについてなんだが。

葵屋か?

生存者が一人いたが、役人が駆け付けた時は、虫の息だったそうだ。

もっとも、葵屋では、なぜか金目の物は盗られてなかったらしいが・・・・・・。

あんなでっけぇ店だ。

金なんか売る程あるだろうに、妙な話だと思ったんだが・・・・・・。

おめぇがその場に居たからか?」




 断十郎の気配に、緊張感が増す。




 甚兵衛が頷きながら続ける。




「ええ。

強盗団は四人組みでしたが、そのうちの三人が妖に化けました」




 断十郎が、顎を指でさする。




 そして、呟くように言った。




「そいつは、俺の聞いた通りだな・・・・・・」




「二人は鬼に・・・・・・。

もう一人は、化物(ケモノ)か獣憑きでした」