そして、断十郎に紹介した。




「断十郎の旦那、彼女は、凪と言います。

ゆうべ、知り合いまして・・・・・・。

ちょっとわけがあって、一晩泊めたんです」




 断十郎は、ちらりと、凪を見た。




 そして、にっこり笑う。




「ああ、そうなのかい。

俺は断十郎ってんだ。

よろしくな!」




 凪が、怖ず怖ずと会釈した。




「それはそうと、甚兵衛!

おめえにちょっと用があるんだ!

わりいが、暫く、こいつを貸してもらうよ」




 最後のせりふは、凪に向かって言った。




「私も、旦那に話したいことがあるんです。

凪、貴女は朝食でも、食べていて下さい」




 甚兵衛は、凪にそう言って、断十郎と一緒に表へ出て行った。