朝、断十郎は甚兵衛の暮らしている長屋まで行った。




 戸を勝手に開けて中に入る。




 入ったところで、固まった。




 信じられないものを見た!という風に、微かに目を見開いた。




 甚兵衛が女を連れ込んだ!?と断十郎は思った。




 戸口で固まっている断十郎を、少女といってもよい年頃の女――凪が、驚き、警戒するように見ていた。




 凪は、昨夜のことがばれた!と思った。




「「甚兵衛!?」」




 断十郎と、凪の声がキレイにハモる。




「断十郎の旦那、お早うございます」




 当の甚兵衛は、平然とした様子で、断十郎に挨拶をした。




「ああ・・・・・・。

え〜と・・・・・・。

彼女は?」




 断十郎が、当然の質問をする。




「甚兵衛、知り合い?」




 凪は、相変わらず警戒するように、甚兵衛に小声で聞いた。




 甚兵衛は、凪の質問にこくりと頷く。