殺意と警戒心を剥き出しにして、甚兵衛を睨む。




「オイ、オ前達。

生カシテオクノハ一人デ充分ダ!

ソイツハ殺セ!」




 毛むくじゃらが言う。




「ああ、分かってる!

正六、お前は向こうへ廻れ!

挟み撃ちにするぞ!

平治。

てめえは何も出来ねえんだ!

邪魔だから下がってろ!」




 鬼の一人がそう指示を出す。




 唯一、妖に変化していない男が、慌てて頷き、鬼の言う通り隅のほうへ移動する。




 甚兵衛が、その男を観察するように、じっと見ていた。




「おい!

何をよそ見してやがる!」




 いつの間にか近付いていた鬼が二人、牙を剥き出しにして襲い掛かってきた。