少年は、たった今、空いたばかりの席に座る。




 そこへ、若い娘が食器を片付けがてら、注文を聞きに来た。




「酒と・・・・・・、そうだな。

あとは、肴に焼き魚をくれ。

それと飯!

酒はすぐに持って来てくれ!」




 少年は、なんとも少年には相応しくない注文をした。




 しかし、娘は全く怪訝に思うことも、見咎めることもなく、注文を聞くと、手際よく食器を片付け奥に戻って行った。




 誰も、この少年が、ここに居ることに不自然さを感じていない。




 むしろ、そのことが不自然であった。