じりじりと包囲の輪を狭めていく。




 だが、男達がどんなに凄もうと、甚兵衛には慌てた様子は一切ない。




「すいません。

何か勘違いをなさっているようですが、私はただ人を捜しているだけなんです。

平治という人なんですが」




「平治?

知らねえな!」




 リーダー格の男はそう言ったが、明らかに何かを隠しているようだ。




 というより、甚兵衛が誰を捜してここに来たのか承知しているようだった。