「城代殿には、虎の子がおりますれば」




「確か・・・・・・、柚木 断十郎とか言ったか・・・・・・?」




「今は、その者を使い、城下を調べているようにございます。

・・・・・・強盗の件もございますれば」




「“御使い”の異能の持ち主であったな・・・・・・」




 秀郷が、顎を摘んだままで思案する。




 その指が、髭を撫でるようにゆっくりと動いている。




「膩玖よ・・・・・・」




 ここで初めて、秀郷が、膩玖をチラリと見る。