すると、それを見た男が、巾着のような小振りの袋を二つ、闇の中から放った。




「それが、今回の分だ」




「へへへ・・・・・・。

毎度どうも」




 いつの間にか、正六が隣に居た。




 正六が、ヘラヘラと笑いながら、袋をそそくさとしまう。




 そして、また、小屋に戻って行った。




 平治もそれに従った。




 自分の、今の境遇に、不安を抱きながら。




 だが、それを、顔に出さないように努めた。




 もう・・・・・・。




 後戻りは出来ないのだ・・・・・・。




 平治は、そう思っていた・・・・・・。