「いや・・・・・・。

そいつはよしたほうがいいな。

こんなに暗くなってからじゃあ、見付かるとも限らんし・・・・・・。

何より妖や、そうでなくても獣に出くわして危険だ!」




「薬師さんは大丈夫でしょうか?」




 村長が、心配そうに尋ねる。




「そいつは分からん。

だが、旅慣れた者なら、無理はしないで、安全な所を探し、じっと朝を待ってるかも知れん」




 それでも、老夫婦は心配そうだった。




「こんな夜分に、すまなかったな。

また、日を改めて来させてもらうよ」




 断十郎がそう言うと、二人はお辞儀をして見送った。