「悪いが花鶏。

侍っつっても俺みたいな貧乏人じゃあ、遊びに遣う金なんかねえよ。

その日暮らしで精一杯だ」




 断十郎の言葉に、花鶏が拗ねて唇を尖らす。




 その様子が、今までの妖艶さとは打って変わって、幼い少女のように見えた。




(女ってぇのは、怖えな・・・・・・)




 表情一つでコロコロと印象が変わる花鶏を見て、断十郎は、内心でひとりごちた。




「そうだ!

花鶏。

最近、何か妙な客が来たり、噂を聞いたり、してねえかい?」