断十郎からは、平治の腕前も、相当高いと聞いている。




 だからこそ、平吾は平治に期待を寄せ、厳しく接し、それが、平治の家出に繋がったのかも知れない。




 甚兵衛は、漠然とそんな風に考えていた。




 そんなことを考えながら、甚兵衛は大通りを抜け、裏道に入って行こうとした。




 甚兵衛が行こうとしているのは、建具屋だった。




 建具屋は、障子や板戸などを作る職人だ。