心優しく、真面目そうな青年に思えた。




 だが、何かのきっかけで、平吾と喧嘩してしまい、家を飛び出してしまったのだと、断十郎から聞いていた。




 平吾は不器用な性格である上に、職人に有りがちな頑固者だった。




 折れることが出来なかったのであろう。




 そして、平治も、柔和そうな外見の奥には、頑固者の一面が、しっかりとあったのだろう。




 こつこつと、一つの作品を作り上げていく職人には、自分を曲げない頑固さというのは、必要な性質だった。