だが、浪人の周りには、人がいなかった。




 浪人が、近寄り難い雰囲気を醸し出していたからだ。




 断十郎は、それを意に介さず、隣に座った。




 中から、若い娘が注文を聞きに来る。




 どうやら、断十郎とは顔見知りのようで、親しげに挨拶を交わした。




 断十郎が、団子と茶を注文すると、娘は奥に戻って行った。




 そのまま、暫く、道を行き来する人の様子を、見るとはなく見ていた。