あらそ。


一歩はもっと難しい本が好きなんだよな。これ、字も少ないしー。


彼女の言うように、ラストは泣けた。


だけどあんなに綺麗には泣けなくて、家で読んで良かったな…と。


布団に突っ伏し、泣いて顔がぐちゃぐちゃになった。


それは…


彼女の好きな人を知ってしまった悲しみと、オレの失恋が重なったから。余計…泣けた。


「太久、今日目腫れてねぇ?」


一歩がオレの瞼に触れる。