しかし、殿のお言葉を断るわけにはいかない。 姫の用事を任されるということは信頼されているのだろうと思うと、身が引き締まり誇らしい気分にもなった。 それに…… 若菜姫にまた会えるというのが、俺の心をくすぐった。 「御意」 気づいたら俺はそう言っていて、頬を赤らめて俯く若菜姫を見つめていた。 それが若菜姫との最初の出会いだった。