ぶうん、という音がして、ヨロイの足のうちの一本が俺の頬をかすった。
ツゥ、と頬から一筋の血が流れたのがわかる。
歩くのとは違い、思ったよりも器用な芸当が出来るらしい。
俺は刀を抜き、ヨロイに切っ先を向けた。
気を研ぎ澄ませねば。
疲労の溜まった体は長くは持たない。
なぜヨロイがここに来たのか、なぜ近くに来るまでわからなかったのか、姫は本当に翠の国へいるのか。
色々と気になることはあれど、今は考えている余裕はない。
俺は無心で刀を振るった。
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