紅(クレナイ)の国、紅家に仕えるたくさんの武家の中で、程々に地位も名声もある土岐原家の三男として俺は産まれた。 土岐原 鎖迅(トキハラ サジン)。 もう15になる。 土岐原家は長男 稜弥(タカヤ)が家督を継ぎ、次男 倖都(ユキト)は放浪へ出て音沙汰がない。 紅家に仕えるものとして、俺たちは幼少の頃から厳しく鍛えられ、躾られてきた。 『何事も紅家のために』 この、髪ひとふさ、血の一滴たりとも無駄にするな──全ては紅家のものである、と。