翌日俺は、自ら書物係を辞退した。 正式に青羽国から使者が来たのを知ったからだった。 縁談についての子細を纏め、婚礼の準備などを急かしに来たのだ。 一時の感情で、姫の将来に墨を落とすことは許されない。 身分違いも甚だしい。 自らにそう言い聞かせ、姫のことを考えないようにしようとすればするほど姫の笑顔が思い浮かぶのは、鍛練が足りないからなのだろう。 使者が謁見している間、俺はそんな思考を追い払うべく、稽古に励んだ。