「香織が好きだって言ってくれるなんて思ってもなかったから、嬉しくて手が止まらなかった…。ごめん。」

そう言ってアタシのカラダから手を離した。

『ごめん』って……振られたの?抱きしめた事…だよね?

自分にそう言い聞かせた。聞きたいけど怖くて聞けないよ…。

それでも本能とは裏腹に口が勝手に喋り出す。

「…さっきの…ビックリしたけど嫌じゃ…ないよ?好きな人に抱きしめられたんだもん。それとも今は……。」

そう言い掛けた瞬間、アタシの口は塞がれた…。


…優人とキス…してる…。

落ち着きを取り戻していたアタシの心臓は再び大きな音を立てる。

ビックリしてアタシの目は開いたまま…。ファーストキスなのに…。

「今も好き。やっぱり自分の気持ちに嘘つくなんて、俺にはできねぇよ。香織…、俺と付き合ってくれる?」

嘘!!?

アタシに『付き合って』って…言ったよね?

優人と付き合えるの?優人の彼女になれるの?

嬉しさのあまり、目から大粒の涙が落ちた。


「…ヒッ…優人…ずるいよ…。アタシが言おうとしてたのに…」

「怒るなよぉ~。返事は…くれないの?」

「いい!いいに決まってるっ。でも…アタシでいいのかな?」