掴まれている手から、優人の体温が伝わってきた。

『繋がってる』って思ったら苦しいくらいにドキドキした。


男の人に手を掴まれるのは、お父さん以来。もう何年になるかな…。

お父さん以外では初めて。


優人の隣を歩こうと思ったけど、さっき『疲れた』って言ったし、

斜めっていう位置関係を変えたら優人は自然に手を離しちゃいそうで…。


結局疲れたフリして引っ張られてるような状態が自然でそのまま公園に着いた。


「あ…手ぇずっと引っ張ってたなぁ。さすがに痛かっただろ。悪いっ。」

着いちゃった…。手も離しちゃった…。

恋人だったら…

アタシは絶望感と緊張のダブルパンチを食らって上の空。

「…香織?」

「あっ、ごめん。手緩く掴んでたでしょ?だからあんまり痛くないよ。」

「ならよかった。食うか?」

「うん。」

いつもなら『お腹すいた~!』とか『死にそう~』って自然と言葉が出てくるのに今はロボットみたいな状態。



優人はコンビ二の袋に手を入れて、買ってきたものを出してくれた。