記す者

 だが──

「彼女にとっては戦争で人が死ぬよりも、たった数ドルのために人が殺される事の方が現実的なのだよ」

「!」

 平和の中にあって、人が殺されなければならない状況──それはむしろ、とても生々しく彼女の心にのし掛かったのだろう。

「……」

 その言葉に、ケイトは胸を詰まらせた。

「そういう訳だ」

 ベリルは、ケイトの伝票を手に取りレジに向かう。

 その後ろ姿を、ケイトはしばらく見つめていた。