「どうしている!?」

沈んだ島から脱出したのか。

それはあり得なかった。

結界の消えた島を、センサーで捜索して、生存者を隈無く探したはずだ。

「人間の反応はなかった」

だけど…人間でないならば…反応しない。

さやかは、走り出した。

そして、カードを取り出すと、高坂に連絡した。

「もしもし、高坂!」




双子の生徒とは勿論…ユウリとアイリのことである。

彼女達は、屋上を目指していた。

無表情で能面のような顔をまっすぐ前に向け、余所見をすることはない。

一気に階段を上りきると、鉄製の扉を開けた。

「呼び出しておいて…遅いな」

屋上の真ん中で、腕を組むアルテミアがいた。

目が合っただけでふらつきそうになる威圧感に、初めてユウリとアイリは顔をしかめた。

「―ーで、何の用だ?」

腕を組んだまま近付こうとしたアルテミアに、アイリが突然笑いだした。

「何も感じぬか?」

「?」

アルテミアは眉を寄せた。

「赤の王と言われる貴様も、その程度か?」

今度、ユウリが顔を伏せながらフッと笑った。

「!」

ユウリの言葉を聞いた瞬間、僕ははっとした。

「ア、アルテミア!」

この学校がある地域だけに、捕らわれ過ぎていた。

気を少し外に向けた瞬間、僕は絶句した。

「!」

それは、アルテミアも感知した。一瞬、青ざめたアルテミアは唇を噛み締めると、前方を睨んだ。

「き、貴様ら!」

アルテミアの怒りで震える声を聞いて、ほくそ笑む2人。

そして、2人は上空に飛び上がった。

「我ら炎の騎士団は、局地的な人類への攻撃を開始した」
「いいのかな?赤の王!それに、天空の女神よ!こんなところで油を売っていてな!」

嘲るように笑い去っていくユウリとアイリの後を追おうと、空中に飛び上がろうとした時、屋上の開いている扉から、高坂やさやか…そして、九鬼とカレンに、輝と緑が屋上に飛び込んできた。