「恐れながら申し上げます。魔王ライよ」

鉄仮面の女は、顔を上げると、ライに向かって話し出した。

「私達が、この身を捧げるのは…最強の王」

「最強の王だと?」

ライの眉が、はね上がった。

「はい。今、我らを身に纏う資格があるお方が、3人いらっしゃいます。魔王ライ!あなたと…」

鉄仮面の女は、目線を前に向け、

「天空の女神…。そして、赤の王と呼ばれる…」

立ち尽くす僕を見つめた。

「赤星浩一様でございます」

「な、何だと!」

予想外の答えに、苛立つライ。殺気が地上に降り注いだ。

そんなライの様子に頭を下げると、鉄仮面の女は立ち上がり、

「それに…すべてのパーツが揃ってはおりません!」

3人を交互に見て、

「すべてのパーツが揃い、真の盾が完成するまで…しばしお待ち下さい」

再び頭を下げると、僕らに背を向けて歩き出した。その後を、3人も続く。

「待って!勝手に動くな!」

ライが、攻撃を仕掛けようとしたが、僕は彼女達とライの間に立った。

「赤星浩一!」

ライが、僕に手を突きだした。その軌道上に、アルテミアが立った。

「アルテミア!退かぬか!」

躊躇うことなく、攻撃しょうとした瞬間、ライは突然苦しみだした。

「お、おのれ!バイラめ!」

ライは真の力を取り戻す為に、体をわけていたバイラを再び吸収した。

しかし、長い間離れていた為に…自我は別々になっていた。

その吸収したバイラの細胞が、ライの中で暴れていたのだ。

「ま、まだ!邪魔をするのか!」

体をかきむしり、バイラの部分を排除することを考えたが、そうすれば…力が数段落ちることはわかっていた。

ライは歯軋りした。

そんなライをアルテミアに任せると、僕は鉄仮面の女逹に言った。

「これ以上は、進むな。奥に行くようならば、相手をしょう」

その言葉に、鉄仮面達は足を止めた。

「どうやら…本気のようですね」

軽く笑った鉄仮面の女は、もう1人…森の中から近付いて来る気配に気づいた。

「確かに…これは、不利ですね」