目にも止まらない動きで、魔物の群を瞬殺した乙女プラチナ。

「…やはり…あなた…」

あまりにあっさりと魔物を瞬殺したのを見てしまった為、拍子抜けしてぽかんとしまった高坂は…ゆっくりと拳を下ろすと、感嘆の声を発した。

「高坂部長…」

乙女プラチナが眼鏡を取ると、変身を解け…理沙に戻った。

「あたしには、この世界に来た理由があります。本当は、すぐに戻るはずだったのですけど…」

理沙はゆっくりと振り向くと、唇を噛み締め、

「親友の命が狙われました。その危険は、今も続いています。だから!あたしは、まだ戻れない」

殺気にも似た雰囲気を漂わした。

それだけで、普通の人間ならば気を失っただろうが、高坂は違った。

理沙の放つ気よりも、彼女の思いに衝撃を受けていたのだ。

高坂の体が気持ちの高ぶりから、震え出した。

「君の言う親友とは…生徒会長のことか」

「…」

理沙はコクリと頷いた。

「だとしたら…か、彼女の命を狙ったのは、女神!?君と同じ…」

「厳密には、同じではない。女神ソラの力は、あたしを遥かに凌駕している」

理沙の言葉に、高坂は絶句した。

「な」

「それに、今のあたしの力は、乙女ガーディアンより少し強いくらい。だから…」

そこで言葉を切ると、理沙は空を見上げた。

「しばらく、あたしはこの島で、力を溜めます。ムーンエナジーを集めて」

「ムーンエナジー?」

高坂は眉を寄せ、

「月の力か…。そうだとすれば、情報倶楽部の部室で読んだことがある。この世界の月は、あなたの分身で…闇から人間達を助ける為に、夜空を照らしていると!だとしたら…それほどの力を持つあなたが、わざわざ自らの力を集めなくてもいいのではないですか?」

「そうね」

理沙は苦笑し、

「月と融合すれば…女神ソラとも戦えるかもしれない。だけど!」

その後、突然眼光が鋭くなった。

「もし!そうなれば、月がなくなり…人々は、闇の中の生活に戻ってしまう」