それは、光だった。まったく眩しくない光が、足下から上がってきて、全身を包んでいく。

「こ、これは!?」

再び、九鬼の姿が変わった。

「生徒会長の姿が!」

バスの上で、魔物と戦っていた緑は、後ろから目に入った輝く光に振り返った。

(乙女シルバー!?)

自らの変化に絶句しながらも、九鬼は拳を握り締めていた。

(いける!)

そして、空高く舞い上がると、無数の乙女シルバーが上空に出現した。

「月影!流星キック!」

まるで流れ星のように、蹴りが…雨のように降り注いだ。

「す、凄い…」

梨々香は感嘆し、思わず引き金に指をかけたままで動きを止めた。

カレンだけが、乙女シルバーの姿を認めると、邪魔にならないように、距離を取って離れた。

流星郡が、道路に着地した時…バスの周囲から魔物はいなくなっていた。

道路に1人立つ九鬼の姿を見た時、前田は運転手に命じた。

「バスを寄せて、止めて下さい」

最初の戦いは、終わった。


しかし、それは…ほんの始まりに過ぎない。

なぜならば、まだ目的地にさえ…着いていないのだから。