「仕掛ける?何をですか?」

素直な質問を口にした舞に、高坂は驚いてしまった。

「あっ…いや…別に」

自分が言ってしまったことを理解して、高坂はすぅと舞から少し距離を取った。

「世話になった。改めて礼を言う」

カレンは、部室内にいる人々に頭を下げると、ボロボロのスカートのポケットから、プロトタイプブラックカードを取りだし、

「今回使ったポイントをお返しします」

舞の方に差し出そうとした。

しかし、それを高坂が断った。

「情報倶楽部は、生徒の為にある」

少し怒ったように、真剣な目を向ける高坂に、カレンは困ってしまった。

「し、しかし…」

それでも、高坂はうんと言わなかった。

「どうせ!ここにあるポイントは、解体した防衛軍からくすねたものですし…」

突然目を輝かせた舞が、高坂を押し退けると、カレンの手にあるプロトイプブラックカードに顔を近付け、

「防衛軍を解体させたのは、生徒会会長やあなたの功績が多い!だから、ここにあるポイントは、遠慮なく…」

そこまで説明した後、舞は唐突に話を終えた。だけど、興奮はおさまらない。


「ブ、ブラック〜カード!」

ついに、本音が言葉に出た。今度は、背中を反らし、天井を仰ぎ見た。

「都市伝説は、本当だったんだ。無限に使える夢のカード!」

「違いますよ」

舞の興奮をさますように、カレンは否定した。

「え」

天井を見たまま、舞の動きが止まった。

「これは、ブラックカードでもプロトタイプです。無限にデーターベースから、ポイントを取り出せるカードではなく…こいつは、魔物を倒すと直接、魔力を奪い、貯めることができるんですよ」

「つまり、カードシステムの簡易化か…」

高坂は、頷いた。

「それでも凄い!そんなカードがあったなんて!」

舞は状態を起こし、もう一度カードを見た。

「だとすれば…そんな特殊なカードをどこで?」

高坂も、カレンの手にあるカードに目をやった。