「…で、どうして…俺はここにいるんだ?」

授業が終わった放課後。

輝は、学校から二駅向こうの駅前に新たにできたショッピングモールに来ていた。

それも…綾瀬理沙、さらに高木真由と一緒である。

と言っても、真由とは偶然、ショッピングモールに行く途中でばったりと出会ったのである。

もともと真由の姉である…自殺した麻耶の親友である理沙とは、お互い顔見知りのはずであるが、まったく会話がなかった。

それなのに、一階の吹き抜け部分に作られたカフェに3人はいた。

カウンターにドリンクを注文に来た輝は、3人分のジュースの代金を払った後、財布の中身を見た。

「経費で落ちるんだろうか…」

一応…領収書を貰うと、輝は三つのカップを持って、理沙と真由が座るテーブルに急いだ。

ことの始まりは、こうだ。

数日後に急に決まった合宿の為に、必要なものを備えたいと理沙が言い出したのだ。

一人で買いに行くつもりだった理沙だが、高坂が認めなかった。

その為、輝が護衛として、ついていくことになったのだ。

昨日は、高坂達を振り切った理沙であるが、今回は目的もはっきりしているからか…目の前から消えることはなかった。

2人で一緒に電車(電力では動いていないが…)に乗り、ショッピングモールまで来たのだ。

電車から、ホームに降りた瞬間、輝と理沙は、真由に会ったのだ。

「!」

無茶苦茶驚いた輝の横と前に立つ2人は、まったく驚いていなかった。

お互い頭は、下げたが…そこに笑顔はなかった。

その様子に、長年女に迫害されてきた輝は、ぴんときた。

(これは…仲がよくない)

なのに…一緒に合流した理由は、簡単だった。

輝達の後ろに、絶妙な間合いをあけながら、監視している人の気配を察知したからだ。

それの気配は、輝が知っているものだった。

さらに、まったく気配を消すつもりがない…もう一人の腐れ縁が近くに感じられていたのである。

(アハハハ)

輝は、心の中で笑った。