「あの島?」

輝は、首を捻った。

「獄門島ですね」

いつのまにか…起きていた舞が嫌らしい笑みを浮かべながら、答えた。

「ご、獄門島!?」

そのネーミングに、輝は唾を飲み込んだ。

「いやいや〜」

舞はにっと笑うと、

「勿論、本当の島の名前じゃないよ。正式名は、極楽島。初代の理事長が、名付けたらしいが…その島は、戦士を育てる為の無人島。無人島っていうからには、人間はいないが…魔物はいる。それも、強力なね!」

「い!」

輝は、話だけでたじろいだ。

「島は、ロストアイランドを模倣して結界に覆われている為に、外部に被害が及ぶことはない。そこは、勇者の資格を得る為の最終試練の場所」

「そ、そんな場所があったんですか!」

輝の声が、上ずる。

「…」

高坂は、考え込んでいる。

「だけど…カードシステムが開発されてから、レベルアップの定義が変わり…もつ何十年も使われていないはず。よっぽどの馬鹿でないと、ポイントも貯まらなかったし、魔法も使えない島にいく気がしないわ」

話を聞いていた緑が、肩をすくめた。

「近年…その島に行ったことのあるのは…」

舞はさらに口許を歪め、高坂の方を見、

「部長と新聞部の女傑…如月先輩だけですよね?」

いたずらっ子ぽく訊いた。

「……実際は、違う。俺らの前に、島を訪れていた人はいた。先先代の生徒会長だ」

「先先代の?」

輝は眉を寄せた。

「そういえば…突然、転校されたと…」

その出来事は、緑が入学する前の出来事だった。

「表向きはな」

舞は、にやにやと笑った。

高坂は、ため息をつくと、緑と輝を交互に見て、

「情報倶楽部の部員として、お前達には伝えておこう。先先代の生徒会長は、島で魔物に襲われたんだ」

「え!」

高坂の言葉に驚きの声を上げた。

「俺とさやかは…帰って来ない生徒会長を探す為に、島に向かったのさ。勿論、正式に捜索に当たった校長の部隊とは別にな」