「この前は、油断しただけだ!」

「負け犬が、吠えるな」

2人の戦いを背にしながら歩く浩也。

階段を降り、特別校舎を出て、保健室に向かう。

「あ…」

別の校舎に入って、歩いている途中で、ふと…気がついた。

「保健室…どこだっけ?」

浩也は少し、校内を迷ってしまった。





「な、何だったんだ…」

高坂は、飛び降りたはずの生徒を探すことを諦めて、九鬼を見つけたという緑と合流しょうとした。

しかし、カードを使って呼び出しても返事がない。

「クソ!」

通信を着ると、香坂はカードを捜索機能に切り替えた。魔物を探知はできなくなったが、同じカードを持つ相手の場所を探すことはできた。

「特別校舎か!」

香坂は、東校舎を出ると、輝を連れて走り出した。

中庭をダッシュしていると、中央校舎の中から突然、声をかけられた。

「すいません!保健室は、どこですか?」

開いていた窓から顔を出して、きいたのは…浩也だった。

「東校舎の一階、奥だ!」

急いでいる為、浩也の方を香坂は見なかった。

「ありがとうございます」

頭を下げた浩也は、九鬼を抱いている手で、窓を閉めた。

「あ!」

輝は浩也と九鬼に気付いたが、どう言っていいのかわからない。

「ぶ、部長!」

「急ぐぞ!」

さらにスピードを上げる香坂。

仕方なく…輝もスピードを上げた。振り向き、校舎内を歩いていく浩也の後ろ姿を見送りながら。