「反撃の狼煙は上がった!我々人類は、いつまでも、魔王の恐怖に怯えてはいない!」

当時の防衛軍最高責任者は、結成を迎えるにあたり、民衆にそう叫んだ。

しかし、その裏では…安定者と言われる者の存在と、ブラックカードという負の遺産を生み出していた。

当初…ティアナ・アートウッドを、防衛軍の顔として、最高責任者に任命されたが、彼女は断った。

しかし、カードシステムをつくった者として、魔王を追い詰めた勇者としての呪縛が…彼女を逃がすはずもなく、表の顔は断れても、裏の顔を断れることはできなかった。

「逆によかったのだよ」

白髭の男は、笑いながら言った。

それからしばらくして、ティアナと魔王の関係は始まり、自ずとそのことは、民衆に明らかになった。

彼女名声は、地に落ちる。

しかし、人々は知らない。

ティアナがライのそばにいた時だけが、平穏な日々だったことを。

時には、マリーとネーナと2人の女神の襲撃を受けることがあっても…それは、小規模だった。

彼女達にとっても、ティアナという存在は…牽制になっていたのだ。

しかし、ティアナは死んだ。

そして、世界は再び…混乱を迎える。


その後、天空の女神となったアルテミアの反乱を得て…異世界から、赤星浩一がやってくることになる。

数々の戦いを得て、赤星浩一は魔王ライを…己の体を使って、封印した。


「行くか…」

ジャスティンは割れたブラックカードを、胸ポケットに突っ込むと、歩き出した。

もうすぐ…魔王の封印が解ける。

ジャスティンは確信していた。

その時こそ、人類の存亡をかけた戦いになると。