対魔神用に、魔力は残しておきたかったが、クラークは使うことにした。

雷鳴が轟き、周りにいたミノタウルスは黒焦げになる。

「やば!」

雷鳴の動きを見て、ジャスティンは地に伏せた。何とか、雷鳴の攻撃をよけることはできた。

「危ないだろ!」

顔を上げて、クラークに抗議をしょうとしたら…今度は、頭上から針を突きだした蜂に似た魔物が、襲いかかってきた。

「ったく!」

ジャスティンは地面の上で回転すると、針をかわした。

と同時に、背中につけていたブーメランを放った。

襲いかかってきた魔物を真っ二つにすると、そのまま空に向かって飛び上がり、空中にいる魔物達を切り裂いていく。

「数が多すぎる!」

ミノタウルスも、まだまだ続々と茂みの向こうから現れてくる。

「仕方がない」

クラークは剣を鞘に納めると、ジャスティンに声をかけた。

「ジャスティン!お前のカードを貸せ!」

「!?」

クラークの言葉に驚きながらも、ジャスティンは自分が持っているカードを投げた。

クラークはそれを掴むと、自分の分と合わせて、二枚のカードを突きだした。

「対魔神用だったが…」

クラークは、前方を睨み、

「ジャスティン!俺の後ろに!」

まだ戦っているジャスティンに声をかけた。

「何かヤバいな!」

クラークの手にある二枚のカードの輝きを見て、ジャスティンは戻ってきたブーメランを掴むと、そのままジャンプして、クラークの頭上を飛び越えた。

「グラビトンローグ!」

クラークが叫んだ瞬間、前方の地面が数センチ窪み、そこにいたミノタウルス達は、頭から圧力をかけられたようにぺちゃんこになった。

空にいた蜂に似た魔物は、地上に落ちると、そのまま潰れた。

魔物だけではない。

ジャングルの草木も、ぺちゃんこにになった。

同時に地震が発生し、後ろにいたジャスティンの足下も揺れた。

「ここまでか…」

数秒後、カードの残量が零になると、すべての現象は止まった。