「え?」

グレイはティアナの横に来ると、前方の闇に目を細めた。

水の流れる音に慣れた耳に、細かく振動するような音が飛び込んで来た。

「仕方ないわね」

ティアナは肩をすくめると、

「でも、カードに魔力を補充しなくちゃいけないし」

右手を前に突き出した。

チェンジ・ザ・ハートが飛んで来ると、すぐにライトニングソードに変えた。

「やるしかないわ」

一振りし、柄を握り締めると、ライトニングソードが放電した。

「ハハハハ…」

グレイは照らされた洞窟の奥を見つめながら、顔を引きつらせ、

「大勢のご歓迎で」

肩から腰にかけていた鞘から、剣を抜いた。

洞窟を覆い尽くす程の蜂に似た魔物の群れ。

聞こえてきた音は、羽音だったのだ。

「専門外だが…」

グレイも構えた。

「害虫駆除といきますか」

「そうね!」

ライトニングソードが輝き、洞窟内に雷鳴がこだました。