「祖父を…」

ゲイルは、うっすらと笑みを浮かべながら、

「殺すのか?」

ティアナに向かって、言葉を投げ掛けた。

「!?」

その一瞬の仕草と言葉で、ティアナは悟った。

「お前は…」

ゲイルを眉を寄せると、

「誰だ?」

睨み付けた。

ティアナの信じられない言葉にも、肉親であるはずのゲイルは驚くこともなく、ただ目を細めただけだった。

「お前は…お祖父様ではない」

ティアナは確信した。それは、ほんの少しの違和感だった。

ほんの少しの他人行儀。

ゲイルはまるで、自分自身を他人のように語っている。

「誰だ?」

ティアナは、右足だけ一歩前に出た。

「ククク…」

ゲイルは笑い、

「今の質問に対して、答えよう。半分は、正解で…半分は間違いだ」

「どういう意味だ!」

ティアナが声を荒げた瞬間、回転する2つの物体が、どこかか飛んできた。クロスさせると同時に、前に出した右足に力を込めると、そのまま…ライニングソードを横凪ぎに振るった。

「こういう意味だ」

グレンは、避けることをしなかった。

「!?」

ギリギリで届いたはずの剣先を、ティアナは止めた。

なぜならば、目の前にいるゲイルは…紛れもなく、本人だったからだ。

「ティアナ…」

目に涙を浮かべたゲイルは、いとおしいそうにティアナを見つめながら、こう言った。

「私を殺せ!」

「え?」

ティアナの持つライニングソードが、小刻みに震えた。

「私はもう…私ではない。闇に侵食された!だから、わ、私を!」

涙を流しながら、懇願するゲイルの表情が一転する。再び、ティアナを睨み、

「できるか?人間の小娘が」

不敵に笑う。

「な!」

一瞬の変化に驚くティアナに、ゲイルは右手を突きだした。

気のようなものが放たれ、ティアナは吹っ飛んだ。

しかし、それと同時に、ミサイルに向けても放たれた。

「モード・チェンジ!」