「な!」

フレアと魔物達の戦いを見ていたファイは、目を丸くした。

「あ、あれは!」


フレア達の遥か向こうに、雲と見間違える程の巨大な物体が浮かんでいた。

いや、雲よりも…空の色に近い。

「ブ、ブルードラゴン!」

世界に、七匹いると言われる巨大な竜の王。

レインボードラゴンの一匹である。

「竜王の一匹を、配下にしたのか!」

ファイは、側にいるムゲに顔を向けた。

「やつは…水属性の最高位。やつの吐く水の息吹は、あらゆる炎を鎮火する。それが、マグマであろうとな」

ムゲはフッと笑うと、フレアが落ちた辺りに目をやった。

「炎が使えないあやつなど…ただの人間と同じ。もう戦うことも、逃げることもできぬわ!」

ムゲは空に浮かぶ魔物達に向けて、親指を上にして拳を突きだした。

そして、ゆっくりと親指を下に向けた。

すると、魔物の群れは一斉に、地上に向けて急降下していった。

「キエエエ!」

空に残ったブルードラゴンが、吠えた。