ダイヤモンドをも切り裂くレーザー光線は、普通は目に見えないが、空気のお蔭で軌跡は見える。

しかし、光速で相手に向かう為に、回避は不可能である。

なのに、乙女プラチナは三本のレーザー光線を避けた。


「何!?」

サングラスの男は目を疑ったが、間を開けずに指示を飛ばした。

「方向を変えて、連射しろ!」

通常レーザーを撃った後は、銃身は熱くなり、普通の人間ならば大火傷を負うが、強靭な肉体が連射を可能にしていた。

生体レーザーは、化け物の肉体そのものから電気を発生させて、エネルギーにしている為に、余分なエネルギーは使わない。

照準を合わせる光を放つことはないのだ。

だからこそ、どこを狙っているかはわからないはずだ。

サングラスの男の指示で発射する場所を移動し、レーザー光線を連射した。

「フン」

乙女プラチナは鼻を鳴らすと、避けるのを止めた。

プラチナの戦闘服に命中した瞬間、目映い光が辺りと包んだ。

「何があった!?」

人間ならば、目が潰れる程の光を切り裂いて、乙女プラチナが空中から姿を見せた。

「月光キック!」

「ク!」

乙女プラチナの蹴りは、サングラスの男ではなく...残りの一体の化け物に炸裂した。

「ば、馬鹿な!我等の実行部隊が、こうも簡単に!」

サングラスの男は、視界が正常に戻るのを待たずに...その場から消えた。


その様子を、じっと見ていた乙女プラチナは、サングラスの男のあとを追うことはしなかった。

光が輝き、消えるまでのほんの数秒の出来事だった。

乙女プラチナは視線を、そばに立つ中島に向けた。

戦いの間ずっと、背を向けていたから…中島は、光に目をやられることはなかった。

「クギ…」

乙女プラチナは唇を震わし、そう呟くと…眼鏡を取った。


「あっ!え!あっ!」

あたしは、手に持った乙女ケースに驚いた。

どうしてあるのか…理解できない訳ではなかった。

ただ…変身している間、頭がぼおっとしていて、何か妙な気分だったのだ。