「終わったか…」

雷雲が晴れ、青空が広がる空を見上げながら、アルテミアは呟いた。

「なぜ…とどめを刺さない」

足下に倒れているリンネの言葉に、アルテミアはフッと笑った。

「お前もあたしも…間違ってはいない。ただ…運命ってやつが、あたしに流れただけだ」

アルテミアは笑いながらも、複雑な思いを抱えていた。

「お、お前はあたしを憐れむのか!」

リンネは思わず叫んだ。

だけど、アルテミアは感情的になることなく、歩きだしながらこう答えた。

「あたしとお前は紙一重だ。憐れむはずがない」

「クッ」

リンネは自らの敗北を悟った。

アルテミアが去った後、アイリとユウリが、そばで控えていた。

「リンネ様…」

2人の言葉に、リンネは笑った。

「これが…自由なのかしら?あの人がいなくなって、自由を得ても…嬉しくないわ」

リンネは、青空を見上げながら、涙を流した。

「こんな自由…望んでなかった」

「…」

リンネの涙に、アイリとユウリは頭を下げたまま何も言うことはなかった。




「王が…」

ギラの腕の中で、目を覚ましたサラの瞳から涙を流した。

数時間ぶりに帰ってきた城も、まったく馴染みのない建造物に見えた。

「…」

ギラはしばし、城を見上げた後、

「王につくられた我らが、今も存在する意味…。我らは次の王の為に尽くさなければならない」

「あ、ああ…」

サラは城を見つめながら、頷いた。




「終わった…いや、始まったのか」

座禅を組んでいたカイオウは、立ち上がった。

そして、渡り廊下に並んだ花壇に頭を下げると、その場から歩き出した。