部下が敬礼し出ていった後、副司令は窓に映る自分を見て、呟いた。

「無力」





「くそ!」

ファイアクロウを装着して、ライに斬り掛かったが、傷一つ付けられない。

「娘に与えた遊具で、何をする気だ?」

僕の手首を掴んだライは、爪を僕の血管に突き刺した。

「赤の王よ。お前はまだ、経験が浅い。己の能力を使い方を知らない」

「うわああ!」

血管内だけを、電流が這い回る。その痛みに悲鳴を上げた。

「それに、外が気になり…集中できていない!こんなことで、我に勝てるつもりか」

「…ああ…そのつもりだ」

僕は、悲鳴を上げたことを恥じた。

這い回る痛みが、逆に僕を冷静にさせた。

(来い!)

心の中で念じた瞬間、どこからか回転する2つの物体が飛んで来て、ライの手と強打し、足を払った。

「な!」

ライがバランスを崩した為、爪が取れた。

と同時に、ライの胸に傷が走った。

「確かに、僕は…経験不足だ。自分の能力のすべてを知らない!」

僕の手に、剣が握られていた。

「ライトニングソード」

ライの目が、見開いた。

「だけど!だからと言って、負ける理由にはならない!」

僕は考えるのを止めた。

ただ前に出るだけにした。

クラークと戦った時のように。

(前に!)

ライトニングソードを握り締め、前にいるライに向って走りだした。