「どうせ〜自然とともにあるリゾート地と言ってみても、人の手で手入れしている盆栽みたいなものだ」

「ぼ、盆栽って…」

アルテミアの口から、盆栽という言葉が出るなんて。恐らく…僕の記憶からトレースしたのだろう。

「それに、島にいたあの化け物達を野放しにはできない。やつらは、人間を食い!別の人間もどきを産み出す」

アルテミアは白い翼を広げ飛び上がると、更地になった島を見下ろし、化け物が生き残こっていないか確かめた。

生存者がいないと確信すると、今度は怒りを僕に向けた。

「赤星!てめえ!あたしもどきの裸を見て、興奮しただろ!え!」

「い、いや〜こ、興奮っていうか…び、びっくりして…」

何とか誤魔化そうとする僕に、アルテミアが言った。

「言っとくけどな!あたしは着痩せするんだ!あいつらより、胸がある…」

とそこまで言ってから、アルテミアは真っ赤になり、さらに怒った。

「てめえ!何を言わせてやがるんだ!」

「か、勝手に〜アルテミアが」

「いつか、絶対殺す!」

理不尽なアルテミアの怒りに、しばらく大人しく堪えていると、少し落ち着いたアルテミアが、自らの右肩を見つめた。

アルテミアもどきのパンチを受けた部分が、赤くなっていた。

「どうやら…やつらは、目で見たものの姿だけでなく、ある程度の力をコピーできるようだな。所詮…表面だけだが」

「何なんだろ…今のは…」

「少なくても…これだけはわかった。やつらは、人間じゃない。そして、人間以外にもなれる」

「だ、誰が…造ったんだろ。今まで、あんな魔物はいなかったはずだよね」

「ああ…」

アルテミアは真下の島に目を細めた後、視線を後ろに向けた。

遥か向こう…結界の向こうにいる…存在に。

「やつしかいない」

アルテミアは、唇を噛み締めた。

「!」
「!?」

突然、再び僕らの頭に、人々の悲鳴が響いた。

「ま、また!」

戸惑う僕に、アルテミアは拳を握り締めると、

「行くぞ!」

声が聞こえる方向に向かって、飛んだ。