その威力に、広場にいた魔神達は一斉に逃げた。

そんな中で、平然としているのは、4人の騎士団長だけだ。

特に、4人の目の前にいるギラは、微動だにしない。

自らの攻撃に匹敵する雷撃を、4人から受けながらも、その場が動くことはなかった。

「な」

唖然とする女の目の前で、攻撃が止むまで受け続けたギラはフッと笑うと、一歩前に出て…手刀だけで4人を切り裂いた。

「ああ〜坊や達!」

肉片になったギラに似た魔神達に駆け寄る女。

その女を見下ろしながら、ギラは言った。

「知性だけではない。経験値も足りん!」

そして、まだ一言は話していない男の方に目をやりながら、

「この世の中で、常に負けない自信があるのは、己自身だ。例え何人いようが、己に負けるか」

反応がないのを確認すると、2人に背を向けた。

「…」

男は、肉片にすがる女を一瞥した後、ギラの背中を見つめた。

「一つ、質問したいんだけど?」

ギラと入れ替わりに、リンネが近付いて来た。

男の前に止まり、腕を組むと、

「あなた達は、人間も産むことができるんでしょ?」
探るような目で、男の顔を覗いた。

男は横目で、まだ肉片から離れない女の様子を確認してから、頷いた。

「はい…」

「そう」

リンネは目を細め、

「そのあなた達が造る人間は、今の人間と変わらないのかしら?」

「はい…。基本的には」

男は、頷いた。

「基本的?じゃあ〜。少しは違うことがあるのね?」

「はい…。王が望む人間は、多くの子を産み…魔物達の玩具がなくならないようにすること。そして…子をつくる行為以外は、人間を群れさすことをさせない。人間は、団結すると力を持つからと」

そこまでの話を聞いたリンネは、顔をしかめ、

「わかったわ」

話を中断させた。

「…」

すると、再び黙り込む男を見て、ギラのようにすぐ離れるのをやめた。