さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「だめですよね。あんなことで泣いちゃうなんて」

 あたしは涙を拭った。

 その涙は流れ続ける涙ではなかった。

 だから、あたしはハンカチを彼女に返した。

「いいんじゃない? あなたらしくて」

「あたしらしいですか?」

「そんな気がするわ。わたしは今日のことを誰にも言わないから、好きなだけ泣くといいわ」

 あたしは頷く。

 他の人にとっては他愛のない言葉。

 でも、あたしは彼が自分の父親だと分かったときから、そう呼ばれたかったのかもしれない。

 自分の娘だと。

 そんなこと人に言ったら笑われると思う。

 それでもそう思っていた。