さよなら、もう一人のわたし (修正前)

「説教は後から聞くから、ね?」

 あたしは立ち上がると、入り口の前で佇む人の背中を押した。

 彼はあたしに押されたからだろう。

 ふらつく足取りで母親の傍に屈みこむ。

「大丈夫か?」

「ええ」

 母親は怪訝そうな表情を浮かべると、目をそらしてしまった。

 そのまま布団に横になる。

「仕事、辞めたらどうだ?」

 あたしでも驚くような突然の言葉だった。

 寝たばかりの母親が体を起こす。

「辞めてどうするのよ」

 彼女は肩をすくめると苦笑いを浮かべていた。

「生活費ならなんとかするから」

「あなたに面倒を見てもらう筋合いなんかない。わたしはあなたとはもう無関係なのよ」